メジャーで測る ≠ 採寸 - 捕捉

短寸法(短寸式)と割出法(胸寸式)

このページはメジャーで測る ≠ 採寸 2の補足です。

短寸法とは人の立体をそのまま把握することです。原則(標準的な採寸箇所)はあるものの、必要なだけ、測りたいだけ測ります。究極は三次元走査になるでしょう。それに対して割出法(胸寸式,胸寸法)は服の奇麗なシルエットを定型比にしたものです。経験則に基づいていた紳士服の美しい姿を「比」に変えて覚えてしまう方法です。

言い換えれば、短寸式では人の体の具体的な「数字(現実)」を取得し、割出式では美しい紳士服の「比(印象の記憶)」を取得します。

この2つ、共に必要です。「具体的な人の形 → 理想的な紳士服の形(の印象)」への作り替えが必要になるためです。オーダーメードである以上、実際に存在する具体的な人の形を把握するのは当然ですが、人の形をそのまま実現しても服になりません。これを理想的な紳士服の「印象を持つもの」に変更しなければなりません。

短寸法で把握した具体的な人体の「数字」が、「美しい服の印象」とどの程度ずれているか、そのずれは裁断法や縫製で吸収できるものかどうかの判断が裁断ですから、採寸と裁断は一体のものです。

つまり、短寸法も割出法も、極論すれば共に「服にするための資料」です。そのため、両方とも使いますし、独自に修正もします。「-cmでなければならない」「採寸は細かくとれば取るほど素晴らしい」が、共に間違っているという理由はこういうところにあります。

そのため、短寸法をしない「人の体を数字で把握しようとしない」のならば、それは不足です。手数が多いだけで慣れれば難しくありません。難しいのは「短寸法という採寸方法」ではなく、その採寸を生かす裁断と縫製を自分なりに作り出すことです。他方の割出法も「美しい服の記憶/印象」を定型にしたものですから、使ったり参考にするのも、やっぱり当然になってきます。

ちょっとした補足でした。やっぱり、この採寸、ご紹介はとても難しいものでした。無かったことにしてしまいたいくらいです。このご紹介は他の方にお譲りして、ご勘弁をお願い致したく思います。

2008.6.11