2014年秋冬 東京受注会

今期は昨季と比べると、各メーカーでおおまかな傾向が定まっている中で、細かいバリエーションが展開されている印象です。スーツ地では繊維そのものの光沢を生かしたもので、柄は各種のストライプ。ジャケット地では驚くような鮮やかなチェック柄の提案が目立つようになりました。

詳細

お持ちする生地、仕立て上がり見本

新柄では例年通り 伊: Elmenegildo Zegna、英: Holland & Sherry, John Cooper & Son, Scabal、仏他: Scabal, Dormeuil、日: 三星毛糸, 葛利毛織の全サンプルを中心にお持ち致します。伊: Loropiana は一部になります。

今期も羅紗屋さん、機屋さんを回ってきました。現物では一風変わったもの、Sportexのような復古的な生地など、特徴あるものを中心に集めてきました。

今回はちょっとした出物が何点かあり、例えば Zegna Cashmere 100%, 560g/m2 を入手してきました。ウェーブがとてもきれいで、カシミア独特の光沢が優れています。これぞカシミアコートといった風情で織密も十分です。ご覧頂けましたら幸いです。

日時, 場所

場所 東京国際フォーラム G509
東京都千代田区丸の内3丁目5
Tel 03 5221 9050, Fax 03 5221 9011
日時 14年9月20日(土) 11〜19:00
14年9月21日(日) 10〜18:00
仮縫予定 東京国際フォーラム G606
14年10月11日(土) 9〜17:00
14年10月12日(日) 9〜17:00

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今季の傾向

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主たる基調はスーツ, ジャケット, コートでも復古的です。起毛素材で暖かみがあり, 光沢の少ないものなどが中心です。ジャケット地でもガリ毛を使ったツィード素材を、各社多く提案しています。

復古的な生地は、基本的に暖かみとともに重量感があるので、この「重量感」で二系統にはっきり分かれます。一方は Zegna などが代表的ですが、織を甘くしてエレガントさ, 軽さを強く押し出すもの。他方は Holland & Sherry のように、500-550g/m2 といった、本当に往事の生地質への忠実さを押し出すものがあります。

フラットの逆

春夏と異なり、ほぼ明確に襟幅が太くなり始め、曲線や造形を強調するものが多くなってきました。若干ショート丈であるのは維持しつつ、細身をさほど強調しなくなりました。

夏服としては麻服のご注文を多く頂きまして、また、コートでは、インヴァネスを早々に数着ご注文いただきました。お話を伺っておりますうち、復古的にこそ"新味"の面白さがあるのかも、と感じます。

また、デザインも多様であったものが徐々に集約されているようです。ジャケットは挑戦しやすいですが、Sportex生地を使ったスーツ提案や、ディティル豊富なカントリージャケットが目立ち、装飾が多いながらも復古的です。

本来であれば梳毛で光沢が強くエレガントさを強調するはずの礼服でも、素材の光沢を生かしつつも起毛させるなどで、敢えて光沢を殺し、暖かみのある風合いを出す生地が多くなっています。これは感覚なのですが「背伸びしない, 無理をしない, 身の丈にあった」という雰囲気が強く出ます。

コンピューターの世界ではフラットで抽象化の度合いを進めた近代デザインが主流になりつつあるようですが、服の世界ではちょうど、それと「入れ替わった」ような感じがしてとても面白く思いますね。