大臣と服

政治の季節、再び

新聞でもニュースでも、政治の世界がまた賑やかです。とは言うものの、政治のことについては、相変わらずやっぱり良くわかりません。私には素養がなさ過ぎます。ということで、興味の対象はやっぱり服になってしまいます。

安倍総理が再度首相になって、「服の様子が随分変わった」印象がありましたので、今回はまた政治家と服につきまして。以前と打って変わり、随分と服に気を使われるようになった印象があります。

サイズ感

何が変わったと言って、サイズ感が大きく変わりました。かつてと随分違います。お正月のニュースで総理の大写しを見て、全く違うことにびっくりしました。…そんな時期まで気がつかないほど、政治に疎いというのもなんだか問題な気がします。

左が7年前、右が去年です。全くサイズ感が違います。H19年ではとても大きい服でした。今回はむしろ細身です。ただ、細身/体に合っているので、腰の部分に絞りが出ていて、紳士服らしいシルエットが出ています。ただそれだけでも随分すっきりとした/違和感なく見やすい印象です。

服が大きいと印象が悪い理由の一つに「胸が余る」点がありますね。腕を前に出していることを差し引いても、Aの部分で顕著に余っています。胸が余っていると、どうしても見栄えが悪くなります。婦人服が女性らしさ、紳士服が男性らしさを前提とする以上、男女共に「胸」の納まりはとても大事です。

日本人の場合、欧州人に比べて胸板の薄い方が多く、特に加齢に従って、胸に対して腹部の割合がどうしても大きくなります。既製服では腹部に併せて胸囲も自動的に大きくなるため、必然的に余りやすくもなります。

裾の部分 B も現在主流のカットで、そう遠くない時期に調えたと分かります。服の善し悪し、出来はさておいても、サイズ感が違うだけで印象はとんでもなく変わる、まるでその見本のようだと思います。

Vゾーン, ボタン数の違い

もう一点、大きく違うのは Vゾーンとボタン数です。7年前は随分とVゾーンが浅く、3つ釦の着用が多かったように思います。それに対して今は深くなり、2つ釦になりました。

随分と印象が違うのではないでしょうか。色柄は似ています。違いがあんまり分かりません。この写真では服の善し悪しもあまり細かくは分かりません。でも、印象はまるで違います。Vゾーンが浅ければ活動的かもしれませんが、エレガントさや落ち着きは殺されます。政治家、しかも総理としては、右のようなデザインの方が地位相応/年齢相応、落ち着いていて見やすい、と、私は思ってしまいます。つまり無理がない。

ただ、上の服でも現れ気味でしたが、今度はちょっと小さいかもしれません。少し分かりにくいですが、Cの部分で服が「ヒゲをかいて」います。ヒゲをかく = 掛けたボタンを中心にして、「八の字」が出ています。単純にこれは服が小さい、胸に対して腹部が足りないためです。

この程度の小ささ程度なら趣味の範囲だとも思うのですが、何と言っても我が国の総理ということから、もう少しだけ、ほんのちょっとだけ「打ち合い(腹部のぐるり)」を出したいとか、腹グセを取って欲しいと感じてしまいます。…が、やっぱり趣味かもしれません。

私はあんまり政治が良くわかりません。良くわからないだけに、服を中心に見てしまいます。その意味で今の総理は以前に比べて服に気を使うようになったのではないか、という気がします。それで、満足するのもどうかと思うのですが、やむを得ません、気を使ってくれる方が政治家さんなら、何となく満足です (甚だしくダメな国民な気がしてきました)。なお、写真は全て官邸からです。

海外の総理や大統領

この際ですから、海外の総理や大統領の洋服も見ることにしました。

オバマ大統領はテレビで見かける限り、余裕量の多い服を着けることが多いような気がしますが、決して「大きく」はありません。「サイズが大きい服」と「余裕量が多い服」は、全く異なる似て非なるものです。これもいつか詳しく書いてみたいと思います。オバマ大統領は「服にとても気を使っている」気がいつもします。アメリカの大統領さんですから、本人が気を使わなくても、周囲がとても気を使っているのかもしれませんね。

キャメロン首相は胸板が厚く、スーツに胸が入りやすい体型です。良い服も、あんまり良くない服も色々着けている写真を見かけますが、それなりに似合ってしまうのでズルイと思います。

ジョルジョ・ナポリターノ イタリア大統領

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イタリアの宰相といえば、ベルルスコーニ氏が記憶に残っています。押し出しの強い造形でとても良い服、そして破天荒といった印象でした。大統領の方は89歳とかなり高齢の方です。大層高齢な方なのですが、高齢でイタリアの政治家だったら、それはもう、そうだろう!、と思えるような服を着けます。奇を衒ったとか、そういう類いでは全くありません。こんな感じです。共産党員だったとはとても思えません。共産党員だったとしても、それ以前にイタリア人だと思ってしまいますね。

そして最後に、「海外の政治家」、「政治家らしい政治家の服」というものを探していて、全くもって強烈なインパクトのある写真に出くわしました。さすが往時の英国政治家。

最近、政治や政治の世界が殺気立っているような気がして、政治家さんの服について何かを書こうと思いつつも、少しおっかなびっくりです。もう少し気軽に書ける空気にならないものか、と、ちょっとだけ思っています。

2014.7.2