冒険的だけれども決まる色

色々な色

色の合わせ方は多様で、しかも複雑なルールがあります。(カラーコーディネーターという職業が存在する所以です)。もともと日本では色の合わせ方に敏感で、既に平安朝から「襲ね色目」として複雑に発展しています。男性も女性もこだわって、まさしく色々と楽しんでいたようです。例えば夏には卯の花(白+緑)、杜若(萌葱色+紅梅色)、百合(赤+朽葉色)などなど。

自然界の色の合わせ方を取り入れての古代の色のあわせですが、今でも十分紳士服に活用することが出来ます。例えば「警戒色」と呼ばれるものです。

警戒色

赤黒 黄黒
赤白 黄白

これらの色の組み合わせ方は皆さんも何処かでご覧になった事があると思います。道路標識や信号、警告表示、「人の目を引く必要のあるもの」全てに使われています。これは自然界で蜂や蛇などの危険生物の色です。自らを目立たせて「自分が毒を盛っている」事を知らしめて、恐れさせる効果がある言われています。

ただ、この色は警戒色というだけ合って、かなり人の目に強くアピールします。ですから、色のバランスを取る必要が出てきます。

トータル・バランス

Zegna, '02 Summer

黄色いシャツ 赤いジャケット

写真1では黄色が目立ちますから、面積が狭いシャツに使っています。部分だけ掲載しているので今ひとつぱっとしませんが、全体図ではなかなかスマートです。写真2では赤いジャケットに対して、その他全てを白くまとめています。かなりラフに着こなしていますが、これは格好良すぎます!。

このように原色に近くて濃い色は、人に訴える力を持ちますからそれ自体が目立ってしまいます。ですから服・シャツ・パンツ・ベルト・ネクタイのトータルで、バランスがとれている必要があるわけです。

写っているのがイタリア人だから格好が良いんだという頑固な方も見えるでしょうから、次回は「肌の色、髪の色、目の色」と服の色の関係を書きたいと思います。

ところで本来生物は保護色と言われる「目立たない色」が主流です。一昔前、日本のサラリーマンはドブネズミルックと言われ、灰色の一色で支配されたことがありました。これはコンクリートジャングルの中に溶け込もうとした、人が当然感じる不安感の表れだったかもしれませんね。でも、もうそろそろ飽きてきたんじゃないですか?

写真;Zegna, '02 Summer: テーラー用スタイルブックからですがもし著作権の問題があれば御一報下さい。そういえば当店は正規取扱店でした。大丈夫のようです。